じゅんこさんが亀山まで送ってくれると言う。三日間お世話になってしまう。
お彼岸の時はどこも道が渋滞している。30分足らずでいけるといわれたけれどやっぱり混んでいた。
景色が変わる。空気も冷たい。亀山の高台にある「月の庭」随分前から存在は知っていたけれど、なかなか行けなかった。行けないのには何か意味がある。そして行けるときにも意味がある。
先月、この「月の庭」のオーナーのまさるさんが亡くなったばかりだった。だからお会いすることもなく、どんなかただったかもわからずに、そういう時にやってきた。月の庭は表は乾物や体に良い食材や、お酒などを売っている。
オーナーのお父さんお母さん、そして奥さんや若いスタッフでお店をしている。奥さんのかおりさんは料理教室もやっているそうで、とにかくご挨拶して「大変な時に申し訳ありません」と言ったらば「もう落ち着いてきましたから」と丁寧に笑顔で答えてくださった。
奥にはレストラン「月の庭」がある。元気で笑顔が純粋な若者達が素晴らしく美味しいお料理を作っている。私達が着いた時も家族連れやいろいろな年代のお客さんが食べていた。
二階の間で唄うのだ。マイクはいらないと思った。気持ちよい響きだ。一緒に唄うのはまだ24歳の小川てつひろくん。唄うことが大好きなことがわかる。
彼が唄って、私が唄って、お客さんは若い人たちも多かったし、小さな人もいた。途中で眠っていたな。
私は亡くなったオーナーまさるさんのことを知らないけれど、うたっているうちになんとなく感じるエネルギーがあった。癌を発病してから4年間舞踏をやりつづけたという。この店もそういうエネルギーのある人がつくったから、集まってくるスタッフもそれぞれ素敵な夢を持って働いている。料理を食べればわかる。
てつひろ君とは、最後に私がダルシマを弾いて彼が「生活の柄」を唄った。この歌をこういうふうに誰かと二人だけで唄うのははじめてだった。
カリー河の筑田さんも、この店から独立した人だった。
打ち上げのお料理も玄米や美味しい野菜や黄金色に輝くお酒で若い人に囲まれて体も心もとても優しくなっていった。
じゅんこさんが車で昨夜も飲めなかったから、一緒に泊まらせてもらおうよと誘ってお酒一緒に飲めた。よかった。
宿舎はまた別にあって、小さい頃を思い出すような日本家屋だ。
じゅんこさんと、そんこに住んでいる健之助くんと炬燵で飲みなおしていたら、片づけを終わったみんなやてつひろくんが押し寄せてきて、ギターがあって、てつひろくんが唄いだす。子守唄みたいだ。私も数曲唄ってオヤスミナサイ。
翌朝、みんなは元気に厨房と店の中を動き回っていた。
ランチは見事なものだった。開店当初からあるという「キビナゲット」お漬物も沢庵なのにはじめて食べる味だった。
店長の加藤くんから聞いていた樹齢800年の銀杏の大木を見たくて、地図を描いてもらって、じゅんこさんに運転してもらって出かけることにした。
本当はもう数日ここにとどまりたいくらい気分が良かったのだけれど、これが私の旅。必ずまた時は来る。
みんなにサヨナラをして出発。
想像していた以上に銀杏の木はパワーがあった!もたれかかると暖かかった。
新しい緑の芽が一本生えていた。ずっしりと生きている!ずっと動かずに。
其処に行かねば会えないのだ。