今年の夏に大分のhakoという古民家を改造して若い人たちが集まってくるカフェで2回目のライヴをさせてもらったときに出会った大石ちさとさんから声をかけてもらった。保育園の保育士をしているという。静かに座って唄を聴いていてくれた。その静かな佇まいに存在感があった。
ちさとさんが保育園の同じ敷地にあるお寺、西光寺の本堂で若い兄妹ユニット「Baobabu」とのジョイントライヴを企画してくれた。そのお寺ではいろいろなライヴが行われていたようだったけれど、あまり詳しいこともわからずにその日がきた。大分空港まで迎えに来てくれたちさとさんは夏に会ったときとは少し感じが違っていた。なんでも自分でライヴを企画するのは初めてだという。物凄く大変だったと思う。別府は思いのほか寒くて、それもお寺の本堂はとても広くて隙間風で、大きなストーブが5個もガンガンと焚かれていた。ステージの後ろには寺山香さんというアーティストが描いた絵の幕がカーテンのように下っていて、手作りのパンや、ホットミルクや、玄米弁当を売っているコーナーもあって、薄暗い照明の中、だんだんお客さんが入ってきたらだんだん暖かくなってきた。Baobabuの二人は事前にCDを聴かせてもらっていたけれど、実際の二人はもっと素敵だった。彼らのご両親は私と同じくらいの歳で、子供達が小さい頃までは福生のハウスに住んでいたという。ハウスの取り壊しで大分の山でほぼ自給自足の生活をしているという。自然農法だから、草むしりや収穫の時は一家ならず、友人達が手伝っているという。そんな素敵な家族の中で自然に育まれてきた音楽は心地よい。セッションも一曲ずつお互いの曲。私は「道ばたでおぼえた唄」妹maikaちゃんのバイオリン気持ちよかった。そして彼らのオリジナル曲にダルシマで参加。これも気持ちよかった。2セットのステージだったけれど交互に演ったのでお客さんは飽きなかったと思う。兄のmirai君に「兄妹で仲良くていいね、ハーモニーも息が合うし」と言うと彼は「きっと東京や町に住んでいたら一緒にはやっていなかったと思う。山での暮らしでは他に音楽友達つくれなかったのが良かったのかもしれない」と、、、楽しんでいるな〜。
hakoの二人のオーナー寺澤君と松平君も来てくれていた。ちさとさんのまわりには沢山の若い良い人たちがいるのがわかる。そうそう、別府の博堂村に来てくれたにわとりさんもお仕事終わって来てくれていたし、保育園のお母さんと子供達もいたし、平日なのに遅い時間までみんな帰らずにいてくれた。
ライヴには残念ながらはじめからいられなかった高橋園長先生(住職さんでもある)が帰ってきて、近所で打ち上げ。園長先生と話してみたらビックリした。
あのお寺では生前の高田渡さんが五回ほど唄われていたという。園長先生はかなりお酒を飲みながら、渡さんとの思い出話をされた。ちょっと寂しそうだった。そしてちさとさんの奮闘ぶりと日ごろの彼女が子供に接する姿が素晴らしいと話してくれた。彼女ならきっと体当たりで子供達を愛しているんだろうな。
若者達はその後明け方まで場所を変えて起きていたみたいだったけれど、私にとってはツアー初日。それでもホテルに戻ったら2時近かった。
翌日大分駅まで、あまり眠っていないちさとさんが送ってくれた。
またみんなに会いたいな。今度はゆっくり大分にいたいな。私はまだ別府の温泉に入ったことがないのだ。
大分のバス亭から高速バスで熊本へ向う。阿蘇のあたりは大雨だった。九州の山越え。