ヒサさんは絵葉書を主につくって売っている。しかし素晴らしい絵描きさんであるし、詩人でもある。ふるさとは小浜ということで今回も小浜でコンサートをしたいと言ってくれていたのだけれど、叶わずに、ちょうど彼女の作品展をしている美浜の「森のめぐみ」という木作り二階建てのカフェで唄わせて貰った。初めての場所だったし、お客さんはヒサさんの絵が好きな人や、お店のお客さんが美味しいケーキやコーヒーと一緒に私の唄をはじめて聴く人が殆ど。
曲目は前日とは少し変えてみた。それでも20曲。早めに始まったけれど外は肌寒く秋は深くなっていて、「森のめぐみ」の庭は少し湿っていて良い匂いがした。
車で武生まで帰る道すがら「何食べよう。。。」と、そらちゃんが切り出した。
私が武生で一緒に食べていなくて、そらちゃんがダイスキでお勧めのオムライスがあるのだが、日曜日の夜、ギリギリでその食堂に到着。オススメ通りにサッパリといていて美味しかった。ラクガキ屋で唄うアーティストはみんな好きな食堂らしい。食堂なんだけれどちいさなお座敷があってそれもとても狭いからみんなで体を寄せ合って食べるのがとっても楽しいのだ。
短い北陸福井の旅、何処にも寄らずに週末を過ごして、好きな人達と静かに過ごせて心が解けてきた。
小さい友達も増えた。
2泊してホテルをチェックアウトしてから、冷たい雨が降り出したけれど、
そらちゃんが学校に行っている間にもういちどラクガキ屋に行ってそれからヒサさんとお昼を食べた。少しの間だったけれど、お互いに話したかったことをはなした。
武生のホームまで見送ってくれたヒサさんとビニール傘が目に焼きついている。
10月30日は山口湯田温泉の「カフェ・ド・ダダ」店の名前がラクタイムといっていた頃にはじめて降り立った湯田温泉の駅。まったく変わっていないといつも思っていたが、駅前の古い喫茶店がなくなっていたり、中原中也記念館の向かいにあったうどんやさんが引っ越して、中也を知っていたといううどんやのおばあさんはもういない。東京のようにガラガラと様変わりするわけではないのだけれど、やはり変化はある。たった6年くらいのあいだなのに、若林純夫さんが亡くなったし、夫婦デュオのべすぱの二人には可愛い赤ちゃんが生まれているし、名前も変わったダダのオーナー香原さんだけは相変わらずの無口と、時折口から出るのはなんとも香腹さんらしいニヒルとヒューマンが混ざり合った短いセリフ。しかしずいぶん御世話になっているのだ。
そのうちに仲良くしてくれる人たちも増えて、ライヴはそういう仲の良い人達が中心に来てくださる。この夜は吉本あいさんという、とても可憐な歌声の女性が一緒だった。賛美歌のような唄もあったし、アイリッシュを日本語で歌ったりで、彼女のファンの人たちもいらしたし、ダダもいろりお若い人たちも集まる場所になっているのだ。
あいさんと一緒だったから曲数は少し短くしたけれど、10月のステージの曲目は大体新しいアルバムの曲が中心になっていて、ちょっと自分でも変えてみたくなっていた。でも、ツアーの最中に新しいことをするのはなかなか大変なことで、毎日の移動だけで終わってそのまま流されていくと、唄が痩せていくような気になるときがある。それは私が一番いやなことで、きょくのあいだの話も同じだ。しかし、毎回はじめて聞いてくれるお客さんはいるのだから、そのバランスは大切にしたいと思う。
それから、同じ唄でも毎日違うのだ。湯田温泉駅みたいに、気がつかない程度かもしれないけれど。
ともあれ、ダダの夜は吉本あいさんという新しいシンガーにも出会えて、そして待っていてくださる方々もあって、香原さんいつもありがとうございます。
この夜は、小澤由己子さん邸に御世話になる。さすがに夜は冷えて、小澤さんと一緒にスーパーで鍋の材料を買って、私の差し入れのお酒で女二人でゆっくりやりましょう、、、ということに。
小澤邸は広い平屋造りの日本家屋で、長い縁側やアルミサッシではない窓や雨戸、そこ此処に趣味の焼き物や書などがあって、私はとても落ち着いてしまう。しかし一人でこの邸宅を管理するのはさぞかし大変だと思うけれど、お父様からの大事な場所なのだ。
お持たせのお酒に似合うお猪口も自分で選ぶ、お猪口だけの箱があるのだ。
お鍋の用意は由己子さんにまかせてしまって、冷えた体をお風呂で温めた。
山口の内陸は寒いのだ。お風呂を頂くのは本当にありがたい。
女二人鍋、歯にもの着せない由己子さんとは話も弾むがお酒も進む。ちょっと足りないかな〜というところで夜更かしは終わり。
数年前に、由己子さんとあの人間魚雷の島「大津島」に行ったときに彼女がずっと涙を流していて、由己子さんの強さと優しさを会うたびに思う。細い体で
いつも闘っているイメージで、、、またゆっくり飲みたい。今度は2本持ってくるからね。
翌日も綺麗なコーヒーカップで朝食もいただき小郡駅まで送っていただく。
福山まで戻り、光市伊保木の椿窯に行くのだ。
「伊保木フォークジャンボリー」が翌日にあってこの夜は主催者上田達生さんのお宅で前夜祭があるのだ。
フォークジャンボリーは前夜祭から始まる。
私が到着したら、ステージを組んでいる最中だったけれど、サウンドチェックをしておいたほうが良いということで、あっという間に夕方になった。
続々と出演者、スタッフの方々、そして何よりも一番大変な仕事をする奥さんたち!とにかく半端でない量の食事を二日間にわたって作り続けるのだ。
私が行ったときにはちょうど大きな鯖をさばいているときで、私はこういう大きな魚をやっつけたことがないから、上田さんや岡山の尾崎さんの奥さんや沢山の強き女性たちの包丁裁きを見学、その鯖を〆るというのでこれも見学。しめ鯖くらい自前でつくれるようになりたいもの。。。こういうお祭りではそういうことも教えてもらえることがある。特に料理は、つり方を教えてもらってから、家で飽きるほどそればかりつくったりする。
上田さんのお宅の前の道をはさんで少し小高くなった平らな場所がステージと客席になる。全てが手作りで、そのためにステージは組まれ、雑草は刈られる。
夕方からの前夜祭は採れたての魚、野菜、お寿司や、持ち寄りの品々、申し訳ないほどのご馳走。お祭りが始まった。
2010年02月23日
武生から美浜 そして西へ
posted by よしだよしこ at 00:00| 日記